▶なみだ

2019年12月31日

今年(令和元年)最後のテーマは、涙です。涙は、眼にとって非常に大切なものです。眼の表面にある 角膜(黒目)や 結膜(白目)は、常に液体によって覆われていなければ、正常な構造や機能を保つことが出来ません。これは、口腔内、食道や胃腸の内壁などと同じで、「粘膜」と呼ばれる組織に共通した性質です。
実は涙にもちゃんとした構造があります。正常の涙は、3つの層に分かれています。角膜や結膜に接している一番下の層には、ムチン層いわゆるねばねば物質の層があります。その上に水性の涙液層、これが本来の涙です。さらにその表面を油の層が覆っています。   
ねばねば層は、涙が角膜、結膜の表面全体に均一に分布するように働きます。水性涙液層には大気中から取り込んだ酸素や少量の栄養素が含まれており、角膜を透明に保つように働いています。また、外界から侵入した細菌などに対抗する免疫系の物質も含まれており、様々な異物から眼球を守っています。この水性の涙液層の表面を被っている最表層の薄い油の層は、水性涙液の蒸発を防いでいます。このように涙の3層構造は、それぞれの異なった役割を持ちながら、全体として角膜の透明性を保ち眼球を守る働きをしています。
皆様のなかにも涙が少ないと感じている人が、たくさんいると思います。所謂ドライアイと呼ばれる状態です。特にコンピューターのモニターを長時間見ている人、コンタクトレンズを装用している人などに多くみられます。ドライアイがひどくなると、異物感、充血、眼精疲労などの原因になります。このような症状のある人は、意識してまばたきをするよう心掛けてください。もちろん人工涙液の点眼も有効です。1日に何回も点眼する人には、防腐剤の入っていない点眼薬をお勧めします。それでも症状が改善しなければ、眼科医に相談してください。重症ドライアイのなかには、膠原病と呼ばれる内科疾患と合併している場合や重篤な視力障害の原因となる場合など、専門的な治療を要することもあります。
今年も中安眼科クリニックのホームページをご覧いただき、誠に有難うございました。来年、令和二年も引き続き宜しくお願いいたします。
皆様にとって来るべき令和二年が素晴らしい年となりますよう心よりお祈り申し上げます。