院長コラム

COLUMN

「眩しさ」について

2022.04.01

東京はじめ各地で桜の花が満開となり、いよいよ本格的な春の到来を感じる季節となりました。良く晴れた日に外出すると、太陽の光が思いのほか強く、「眩しさ」を感じるのもこの季節です。しかし、この「眩しさ」に何か他の症状、例えば、視力低下、眼痛、頭痛、充血、流涙、複視などが伴っていたら、これは単なる春の強い日差しのためだけではありません。眩しさを感じる目の病気には、実にいろいろな種類があります。先ず、瞳孔(ひとみ)が大きくなった為に眼内に入る光の量が多くなり眩しさを感じる病気があります。前回お話ししたアディー瞳孔もその一つです。また、怪我の後に起こる外傷性散瞳や動眼神経の損傷による散瞳などでも眩しさを自覚します。眼の中に入ってくる光が乱反射する為に眩しさを感じる病気もあります。ドライアイやコンタクトレンズ装用による角膜上皮障害、病原体の感染による角膜潰瘍や角膜浸潤、先天性角膜混濁(ジストロフィー)、眼内に炎症細胞が出てくるぶどう膜炎、水晶体が混濁する白内障などです。また、一部の先天性網膜疾患でも眩しさを自覚します。忘れてはならないのは、緑内障発作です。眼圧が急激に上昇するために角膜浮腫が起こり、瞳孔も散瞳するために視力低下とともに眩しさを感じます。また、眼痛、頭痛、吐き気を伴う場合もあります。放置すると、数日で失明することもあるので急いで眼圧を下げる必要があります。
全てのものが明るく輝いている春の光の中で、何かいつもと違う違和感を感じたら「要注意」です。

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Adie瞳孔について

2022.02.15

 最近経験した症例をご紹介します。30才の女性。「今朝より右眼のピントが合いにくくなった。まぶしくなった。」と言って来院されました。矯正視力は、(1.2)でしたが、右眼の瞳孔径が約6㎜と中等度に散瞳していました。光を当てて縮瞳の有無を調べる対光反射では殆ど反応せず縮瞳はしませんでした。一方、近見時の輻輳(寄り目)は可能で、その際瞳孔はゆっくり縮瞳しました。
 上記の患者様のように、片眼の対光反射が減弱又は消失し瞳孔径が大きくなり、左右眼で瞳孔不同となる所見は、緑内障発作時、外傷による瞳孔括約筋損傷、虹彩炎、動眼神経麻痺などで観察されます。この患者様は、緑内障や外傷の既往は無く、瞳孔不同以外の異常所見も観られません。また、動眼神経麻痺を疑う他の諸症状は無く、輻輳反応は正常でしたので、Adie瞳孔と診断しました。念のため、動眼神経麻痺を来たす内頸動脈の動脈瘤等の脳内病変の有無をMRI&Aで検索し、異常所見の無いことを確認しました。
 Adie瞳孔は、多くは原因不明ですが、瞳孔括約筋の麻痺により発症します。20~40才の女性に多く、80~90%が片眼性です。瞳孔が散大し対光反射が減弱しますので、眩しさ、ピントが合わない等の自覚症状を訴えます。一方、輻輳反応は正常に保たれます。瞳孔は時間とともに縮小し自然治癒しますので治療の必要はありません。眩しさが強い場合には、虹彩付きコンタクトレンズを処方します。このAdie瞳孔に膝蓋腱反射やアキレス腱反射の減弱消失が合併した症例はAdie症候群と呼ばれています。
 上記の患者様は、特に治療することも無く、約一週間で瞳孔径の左右差が無くなり眩しさは消失しました。

カテゴリー| 瞳孔

今年もよろしくお願いいたします。

2022.01.06

 新年おめでとうございます。令和の時代も早や4年目を迎えました。世の中は、相も変わらず新型コロナウイルスがくすぶり続けており、穏やかな日常を取り戻すには、もう少し時間がかかるようです。
 昨年、当クリニックでは4月に中安弘毅医師が副院長に就任し、アレルギー性結膜炎の原因検索(抗原検査)、眼瞼痙攣に対するボツリヌス注射、小児の近視抑制の為のオルソケラトロジー治療法、造影剤を使わずに眼底の血管の状態を描出するOCTA装置の導入など新しい検査法や治療法を採用してきました。また、従来の紙カルテから電子カルテシステムに変更し業務の効率化も図ってまいりました。本年は、患者様の待ち時間の短縮のため、従来の時間予約システムに加えて順番予約システムも採用する予定です。このシステムにより、患者様の待ち時間、院内滞在時間が大幅に短縮できるものと期待しています。また、手術室を増設し、白内障手術、硝子体注射、外眼手術などの外科的治療が可能となるよう計画しております。本年も全ての患者様に安心して受診していただけるよう院長、副院長を始めスタッフ全員で改善改革に努力するつもりです。どうか本年も宜しくお願い申し上げます。

カテゴリー| 眼科診療一般

OCTA(光干渉血管撮影)装置を導入いたしました

2021.12.15

OCTアンギオグラフィー(OCTA)は、OCT(光干渉断層計)を用いて、3次元的に眼底の血管を描出する新しい検査法です。この検査法の対象疾患は、網脈絡膜血管に異常を来たす疾患すなわち糖尿病網膜症、黄斑変性症、網膜静脈閉塞症、網脈動脈閉塞症、中心性網脈絡膜症、網膜細血管瘤、脈絡膜腫瘍などです。
従来、眼底の血管撮影には、造影剤を静脈注射して何十枚もの眼底写真を撮影する方法が用いられてきました。この方法では、造影剤によるショックやアレルギーの副作用が発症したり、比較的検査時間が長くかかる等のため、頻回に検査することはできませんでした。一方、このOCTAは、光干渉断層計(OCT)を用いて1枚の眼底写真を撮影するだけです。検査時間は極めて短時間で、造影剤を用いず非侵襲性ですので副作用も全くありません。そのうえ、眼底の血管を浅層、深層等深度別に描出することができます。手軽に頻回に行えるOCTAの導入によって、上記の疾患の診断や病態の把握がより正確になり、適確な治療法の選択が可能となりました。

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新型コロナワクチンの眼科的副反応

2021.10.22

 令和3年10月19日現在、日本における新型コロナウイルスに対するワクチン接種完了者(2回接種者)は8650万人、全人口の68.8%に達したそうです。最近の感染者数急減には、ワクチン接種が大きく貢献しているものと思います。一方、このワクチン接種による副反応についての大規模な調査も報告されています。ファイザー社製のワクチン接種1億回以上を対象にした接種後の副反応報告によると、副反応疑いとして報告された症状疾患は、接種部の腫脹・発赤・疼痛、発熱、倦怠感、頭痛、嘔吐、筋肉痛などが主なものです。しかし、これらの諸症状以外にも、ほとんど全身に渡ってありとあらゆる症状や疾患が報告されています。眼科的な障害もたくさん報告されています。最も多かった症状は、眼(結膜)の充血、眼瞼の腫脹、視力低下、眼のかゆみなどでした。病名としては白内障、緑内障、網膜裂孔、網膜剥離、網膜出血、網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞、結膜炎、強膜炎、虹彩炎、ぶどう膜炎、視神経炎、硝子体混濁、眼球運動障害、光視症などが報告されており、眼科的な副反応もとても多彩です。私の患者様の中にも、1回目の接種後2日目にぶどう膜炎を発症した方がおられました。一週間で炎症は消失し、2回目の接種では全く炎症は出ませんでした。この方は、もともとぶどう膜炎の既往があり、ワクチン接種の副反用かどうか診断に迷う所です。新型コロナウイルス自体も、ワクチン接種も非常にうっとうしいですね。第六波が来ない様に祈るばかりです。皆様、今後も油断無く、感染防止に努めていただきたいと思います。

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