▶ウィルス性結膜炎

2020年02月21日

新型コロナウィルス性肺炎に関するニュースが連日報道されています。眼科関係でもウィルスが原因で発症する病気があります。前回取り上げたアデノウィルス性結膜炎はその代表疾患ですが、その他にもウィルス感染が原因の結膜炎があります。今回は、アデノウィルス性結膜炎(流行性角結膜炎)以外のウィルス性の結膜炎についてまとめておきたいと思います。

先ずは、急性出血性結膜炎です。エンテロウィルス又はコクッサッキーウイルスによって発症する結膜炎です。非常に感染力が強く、過去に大流行したこともありますが、最近はあまり見られなくなりました。潜伏期は約1日で、両眼に強い充血、目やに、流涙、瞼の腫れ、耳前リンパ節腫脹などとともに、白目に出血班(結膜下出血)が出現するのが特徴です。院内感染、家族内感染が多くみられます。治療は、アデノウィルス性結膜炎と同様の点眼薬を使用します。

次にヘルペス性結膜炎。主に単純ヘルペスウイルスの感染で発症します。充血、目やになどの結膜炎症状の他に眼瞼に水疱(眼瞼ヘルペス)や角膜や結膜に樹枝状や斑状の潰瘍を伴うことがあります。これらの所見があれば、診断は容易ですが、水疱や潰瘍が無いこともあり、その場合にはアデノウィルス性結膜炎との鑑別は困難です。治療にはゾビラックス眼軟膏を用います。ステロイド点眼はかえって症状を悪化させるため禁忌です。ヘルペスウィルスは、成人の95%で既に感染済みですので、改めて他の人からうつるとか他の人にうつすという事はほとんどありません。

咽頭結膜熱という病気は、のどの痛み、発熱等風邪様症状を伴った結膜炎です。かつては子供たちがプールで感染することが多かったため「プール熱」と呼ばれていましたが、その後、流行性角結膜炎と同様アデノウィルス(主にⅢ型)の感染が原因であることが判り、現在ではアデノウィルス性結膜炎の1つとされています。

現在ウィルスに有効な薬剤は、ほとんどありません。従って、ウィルス性の病気に対しては、他人との接触を避ける、こまめな手洗い、75%以上のエタノールでの消毒などのよる感染予防が何よりも大切です。