▶緑内障発作と緑内障の種類

2020年10月11日

「内科の先生に、お薬を処方したいのだけれど緑内障を悪化させることがあるので内服可能かどうか、眼科の先生に聞いてください。」と言った質問を緑内障の患者様から受ける事があります。ある種の鎮痛剤、睡眠薬、安定剤、消化管運動抑制剤(ブスコパン等)、パーキンソン病治療薬など抗コリン作用のある薬剤を投与されると、瞳孔が拡大し隅角(眼内のお水の出口)が狭くなり、眼内に水がたまり、眼圧が急激に上がってしまうことがあります。「急性緑内障発作」と呼ばれる状態です。緑内障発作を起こすと、瞳孔が拡大し、白目は充血し、すりガラス越しに見ているようにかすみ、視力が低下します。また、眼痛、頭痛、吐き気などを自覚することもあります。こうなってしまったら、直ちに眼科的な治療をして、眼圧を下げなければなりません。高眼圧のまま放置しておくと短期間に失明に至る場合もあります。しかし、この緑内障発作は、全ての緑内障患者様に起こるわけではありません。緑内障は、隅角の広さによって、広隅角緑内障と狭隅角緑内障の2つのタイプに大別されます。緑内障発作は、このうちの狭隅角緑内障の患者様のみに起こります。我が国では緑内障患者様の多くは、広隅角緑内障です。緑内障と診断された方は、ご自分が上記の2つのタイプのどちらの緑内障か、知っておく必要があります。必ず掛かり付けの眼科医に聞いておいてください。一般的に、元々遠視で裸眼視力が良い人は狭隅角のことが多く、その様な方は加齢とともにますます隅角が狭くなり、緑内障発作を起こす可能性が高くなります。年齢が50才以下の方は、たとえ狭隅角であっても、緑内障発作を起こすことは殆どありません。従って、緑内障と診断された方であっても、広隅角緑内障の方、年齢が50才以下の方は、抗コリン剤の投与は可能です。一方、50才以上の狭隅角緑内障の方は出来るだけ抗コリン剤の投与は避けていただくように、内科の担当医にお伝えください。