院長コラム

COLUMN

EDOF(イードフ) レンズ について

2024.05.18

 EDOF(Extended Depth of Focus)レンズとは、独自の設計で焦点を結ぶ距離を広げたレンズ、つまり焦点深度を拡大して解像度や明るさを損なうことなく遠方から近方まで連続してピントが合うように設計されたレンズです。アイフォンの一部に搭載されたカメラ、工業用カメラ、大腸内視鏡カメラ等にこのEDOFレンズが使われているそうです。眼科領域では、白内障手術の時に挿入される多焦点眼内レンズのなかに、このEDOFレンズを用いたレンズがあります。通常の多焦点眼内レンズに比べて遠方から近方まで眼鏡を使うことなく安定した視力が得られ、夜間でも視力が保たれ、ハローやグレアを生じることの無く、より自然な見え方が得られると言われています。また、ソフトコンタクトレンズにも、この理論を応用して新しいタイプの遠近両用レンズが開発され市販されています。1枚のレンズ上に遠・中・近の度数を年輪の様に何重にも連続して配置することにより、遠方から近方までよりスムースに安定して見えるように設計されています。ごく最近、このソフトコンタクトレンズを7才から15才の近視眼の小児に装用させて、1年間の近視の進行度を通常の単焦点レンズメガネ装用者と比較した研究がインドから報告されました。それによると、近視の進行を59%、眼軸長の伸展を49%抑制したとの事です。従来の累進焦点レンズ眼鏡による近視抑制効果に比べて非常に良い結果です。今後、近視進行抑制の新しい治療法として普及するかもしれません。更に、調節力の低下した高齢者に対する眼鏡へのEDOFレンズの応用も研究されています。
 EDOFレンズの今後の発展に注目したいと思います。

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