院長コラム

COLUMN

ウィルス性結膜炎

2020.02.21

新型コロナウィルス性肺炎に関するニュースが連日報道されています。眼科関係でもウィルスが原因で発症する病気があります。前回取り上げたアデノウィルス性結膜炎はその代表疾患ですが、その他にもウィルス感染が原因の結膜炎があります。今回は、アデノウィルス性結膜炎(流行性角結膜炎)以外のウィルス性の結膜炎についてまとめておきたいと思います。

先ずは、急性出血性結膜炎です。エンテロウィルス又はコクッサッキーウイルスによって発症する結膜炎です。非常に感染力が強く、過去に大流行したこともありますが、最近はあまり見られなくなりました。潜伏期は約1日で、両眼に強い充血、目やに、流涙、瞼の腫れ、耳前リンパ節腫脹などとともに、白目に出血班(結膜下出血)が出現するのが特徴です。院内感染、家族内感染が多くみられます。治療は、アデノウィルス性結膜炎と同様の点眼薬を使用します。

次にヘルペス性結膜炎。主に単純ヘルペスウイルスの感染で発症します。充血、目やになどの結膜炎症状の他に眼瞼に水疱(眼瞼ヘルペス)や角膜や結膜に樹枝状や斑状の潰瘍を伴うことがあります。これらの所見があれば、診断は容易ですが、水疱や潰瘍が無いこともあり、その場合にはアデノウィルス性結膜炎との鑑別は困難です。治療にはゾビラックス眼軟膏を用います。ステロイド点眼はかえって症状を悪化させるため禁忌です。ヘルペスウィルスは、成人の95%で既に感染済みですので、改めて他の人からうつるとか他の人にうつすという事はほとんどありません。

咽頭結膜熱という病気は、のどの痛み、発熱等風邪様症状を伴った結膜炎です。かつては子供たちがプールで感染することが多かったため「プール熱」と呼ばれていましたが、その後、流行性角結膜炎と同様アデノウィルス(主にⅢ型)の感染が原因であることが判り、現在ではアデノウィルス性結膜炎の1つとされています。

現在ウィルスに有効な薬剤は、ほとんどありません。従って、ウィルス性の病気に対しては、他人との接触を避ける、こまめな手洗い、75%以上のエタノールでの消毒などのよる感染予防が何よりも大切です。

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アデノウィルス性結膜炎

2020.01.27

 今回は「アデノウィルス性結膜炎」を取り上げます。結膜炎とは、結膜(白目)に炎症を起たす病気で、原因によっていくつかの種類に分類されます。ウイルスの感染が原因のアデノウィルス性結膜炎や急性出血性結膜炎、細菌感染によって起こる細菌性結膜炎、アレルギーが原因のアレルギー性結膜炎や巨大乳頭性結膜炎などがあります。
 アデノウィルス性結膜炎は、アデノウィルスの感染によって発症する急性結膜炎です。感染力が非常に強いため流行性角結膜炎とも呼ばれています。感染してから約1週間の潜伏期の後、結膜の充血、目やに、流涙、ゴロゴロした異物感、まぶたの腫れなどが出てきます。ほとんどの場合両眼性です。耳の前のリンパ節が腫れて痛みを感じる場合もあります。重症の場合、角膜の上皮細胞が剥がれて角膜びらんを起こすとがあり眼を開けていられないほど強い痛みを感じます。アデノウィルスに直接効くお薬はありません。炎症を抑えるためにステロイド点眼薬、細菌の2次感染を防ぐために抗生物質の点眼薬を使います。1~2週間で改善しますが、この間は周囲の人にうつらないように十分注意する必要があります。ご自分の眼に触れないこと、握手等他の人との接触を避けること、こまめに手を洗うこと、出来れば75%以上の消毒用アルコール液で自分の手や触れたものを消毒すること、タオル等を家族と共用しないこと、などに注意しましょう。重症であったり、ステロイド点眼が不十分な場合には、角膜上皮下に点状の混濁が残り、半年から2年間ほど軽度の視力低下を来たすことがあります。
 アデノウィルス性結膜炎は、他の結膜炎やコンタクトレンズ障害、ブドウ膜炎などとの鑑別が難しく、さらに感染力が強く学校や職場で漫延し社会的な問題にもなりかねない病気であることから、何時の時代にも眼科医を悩ませ続けている厄介な病気です。

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